近々、研修のガイドブックをつくるためのガイドを作成しようと考えており、これまで関わらせていただいた研修を思い出しておりました。
そこで、いままで体験した失敗には、ガイドを作成するにあたって、さまざまなヒントが隠れているのではと考え、失敗をピックアップしてみようと思い立ちました。
今回は、そのうちのひとつを、ご紹介したいと思います。
ご縁があって、ある高校の校内研修に、何年か関わらせていただいておりました。
ありがたいことに、その高校は、3年間続けてお声がけくださったので、年を経るごとにブラッシュアップさせるチャンスがありました。
私が産休に入ったことを契機に、今は別の方が基本的なところを踏襲しつつもアレンジを加えて継続してくださっています。
その3年間で、研修は大きく変わりました。
初年度は大失敗、2年目も先生方のテンションは低いまま、3年目になり、ようやく雰囲気が変わりました。
研修のリクエストは学習活動主体の授業を設計できるようになること、教科を超えてお互いの授業を観察し合うなど授業研究するようになってほしい、ということでした。
初年度は、いわゆる「指導助言」型の研修でした。
先生方の授業を私が記録したことを披露して、情報提供をするという形でした。
記録対象の授業は、生徒から高く評価されている先生の授業も含まれていました。
記録は、生徒の姿を中心に記録したものではありましたが、他の教科の先生に授業の内容も把握していただくために、講義シーンも記録してありました。
研修は大失敗でした。
授業記録を披露したことで何がおこったかというと、授業をしている自分の姿を見て、先生がすごく落ち込んでしまわれたのです。
一番落ち込まれたのは、生徒からの評価が高い先生でした。
授業研究に対して、あまりよい印象を持っていただくことができなかったので、次の年の研修に参加されたときも、暗い雰囲気のままでした。
次の年は、もっと生徒の姿に焦点をあてようということになり、先生方がお互いの授業を観察して、生徒を観察して記録をつくり、その結果の報告と改善案を提案していただくというものでした。
とてもよく観察されていたのですが、時間も限られていたので、それを活かして授業の設計に影響を与えるといった活動を十分に入れることもできず、やや消化不良な終わり方になってしまいました。
3年目になり、生徒が学ぶ授業とはどのようなものなのかイメージするためには、やはり設計や再設計の部分に、私も参加される先生方も丁寧にコミットする必要があると感じ、授業前に学習目標や学習活動を整理するお手伝いをして授業を観察し、その後同じチームのメンバーが記録や改良案を持ち寄って再設計の方針を決めるお手伝いをすることにしました。
すると、目指していた学習の流れなどが明らかになってきて、無駄な活動なども整理でき、ビフォーアフターがはっきりしてきましたし、考えるべき課題もわかってきました。同じチームのメンバーである他教科担当の先生からは面白いアイデアがだされ、研究主任の先生からも、先生方が活発に話し合えるようになったと評価いただけるようになりました。
そこでわかったことは、先生方がこれまでに教材研究のご経験があまりない場合もあるから、設計や再設計の方針を見直す作業に丁寧に関わり合う必要があるということ、学習目標の設定のお手伝いをするために必要な学習内容の理解やねらいを理解するためには、授業のために作られているノート(板書計画がかかれている)を共有することが一番の早道であること、の2点でした。
この3年目の研修に参加していた先生の中には、他の方に担当を引き継いでいただいた4年目の研修にも参加された先生もいらっしゃったのですが、3年目の研修で学んだことを覚えていてくださったようで、4年目で理解を深めてくださったということでした。
ちなみにその先生は、学んだことを確かめる(生徒自身も、授業担当者も)しかけの必要性や、そのしかけの作り方について関心を持ってくださったとのことで、4年目の研修でご自身で担当される授業で研究してくださったようです。
このように、この高校では失敗を繰り返しながら、研修を変えていくチャンスをいただき、3年目にしてようやく基本的な土台を築くことができるようになりました。
このようなチャンスをくださった当時の校長先生には深く感謝しております。
ありがとうございました。